私は山深い田舎町で生まれ育った。
家は貧乏で、学校では貧乏ゆすりばかりしていた。
これでは社会的に負け犬根性が付いてしまう。
そこで小学生時代から、街に出て新聞配達をする事になった。
家から街中の新聞販売店までは自転車🚲を漕いで一時間はゆうに掛かる。
その間には墓場あり、自殺未遂の家はある。
自転車🚲を漕いでいる風景は、草木が生えて何時化け物が出て来てもおかしくはない状況だった。
そんな時流行った事が、口裂け女の事であった。
テレビ📺のワイドショーでは連日連夜、口裂け女の事で持ち切りだった。
今日は京都で出た。とか口裂け女から抱きつかれた。とかキスされたとか怖い話ばかりだった。
私が家を出る時間帯が夜中の2時である。
2時と云えば、草木も眠る丑三つ時である。
私は怖くて怖くてたまらなかった。
そんな時に口裂け女が全国的に出没する。
こんな環境下で新聞配達を完遂する必要があった。
私の配達区域は、山の中ばかりである。
ところが皆が豪邸ばかりであり、古い屋敷のオンパレードだった。
そんな時に私は見てしまった。なんと口裂け女が自転車の後に乗り込んていたのである。
何だか自転車のペダルを漕いでも前に前進しない。
そして後を覗き込んだ。すると口裂け女がマスク😷姿で私を見つめているではないか。
私は口裂け女を振り切って、先に先に進んだ。
今は皆がマスク😷姿である。このマスク😷姿を見るに付けて口裂け女の姿が目に浮かぶ。