武士と云うのは、日々死ぬる準備を怠らなかった。
毎日朝は髪を整えて、行水を行い身だしなみに心を配っていた。
それは戦場に於いて何時、強い相手に出会いたいものだと云う気概溢れる気持ちでいた。
しかし強い武者に遭遇した場合には、2分の1の確立で討ち取られるかもしれない。
討ち取られた場合には、相手の大将たちの前で首検分が行われる。
そんな時端ない格好で首検分が行われると、自分自身の大将の評価が落ちてしまう。
武士と云うのは、自分一人が殿様を御守リするという気概がなけれならない。
だから死ぬる時の事を日頃から準備する用意周到が必要だと言われた。
首検分でだらしない格好ならば殿様の恥になってしまう。
しかし身なりを整えていれば、例え犬死でも、避難もされないし恥にもならない。
あの関ヶ原の合戦に於いて敗北した石田三成も大谷継吉も恥ではない。
現在の歴女なる集団からは羨望の眼差しで想い焦がれられている。