源三位頼政(源頼光)

平家全盛期に、源家の中で一人宮で齒を食いしばっていた老将軍がいた。

官職も進み源家の中では、唯一三位まで昇進した。

ある時に比叡山の僧兵たちが、神輿を担いで僧兵の言い分を貴族に認めさせる為に山を掛け下って来た。

貴族たちは大いに驚き、公卿詮議を開いた。

摂取殿下は言った。平家と源家に命令して、比叡山の僧兵たちを宮に入れないようにと策を提案した。

政治の中枢摂取殿下の策であり、誰一人として反対する貴族はいなかった。

この命令書は早速平家と源家に届けられた。

平家には平清盛の嫡男である平重盛がいた。

ところが源家では、源家の嫡男源頼朝は、伊豆国に流人として流し者になっていた。

そこで源家で宮に残る源頼政に白羽の矢がたった。

源頼政も、尊敬する比叡山の僧兵に弓引くのは忍がかたい。

しかし朝廷に奉祀する武家としては、勅命に従う事は家の誉であると言い家臣三百騎を率いて皇居に馳せ参じた。


一方平重盛は、一万騎を率いて皇居に馳せ参じた。

摂取殿下は云う。平家と源家は武家の双璧。ところが源家の武者は三百騎。


一万平家の武者は一万騎とはバランスが悪いなぁと言った。

早速平家と源家は、自分自身の持ち場に着いた。

それから一時間後、比叡山の僧兵が山から掛け下りて来た。

そして一旦立ち止まり会議を開いた。

その中身は、源家と平家の陣の数が違い過ぎるぞ。

あの源頼政の陣は三百騎しか軍勢がいない。

よし源三位頼政の陣を目掛けて進めと号令がかかった。

すると高層が僧兵たちの前に立ちはばかった。

我我は、朝廷に対して強訴する時には強い相手の陣を打ち破って行くのが良いのだと言った。


すると僧兵たちも、もっともだぁもっともだぁと言い平重盛が守る陣に方向転換した。

しかし平重盛は、僧兵たちに対して遠慮会釈なく弓を射かけた。

一万の軍勢が一斉に弓を射かけたから、僧兵たちは神様が宿る神輿を宮の真ん中に放り出して山の上に逃げ帰ってしまった。