西村勘九郎

西村勘九郎はいったい誰だ。西村勘九郎は、京都日蓮寺で修行していた僧侶だった。

西村勘九郎は、仲間の僧侶一人を連れて寺を抜け出した。

しかし僧侶を辞めた途端に、住む場所も食べる物もなくなってしまった。

そこで荒れ果てた寺を寝床に定めて、托鉢をしてその日暮らしの生活をしていた。

そして毎日のように西村勘九郎に迎っては、もう一人の僧侶は愚痴を言い続けた。

そなたが名のしれた武士を知っていると云う洞話を信用して寺を抜け出した。

ところが知り合いの武家とは、足利処軍家ではないか?

足利将軍家ならば、この自分でも知っているわい。

このように毎日毎日愚痴を聞かされていた。

ところが西村勘九郎たちに転機が訪れた。

京都に胡麻油を商いに来ていた奈良屋と云う大店が野盗に襲われているのに遭遇した。

西村勘九郎は、寺に入ってはいたが、元々は列記とした武家である。

また寺を一緒に抜け出したもう一人の男も元々武家である。

二人は早速に野盗に斬りかかると、たちまちに野盗を絡め取る事に成功した。

そして奈良屋の主人を見ると美しい女主人だった。

その奈良屋の荷車を警護すると云う名目で、奈良屋と云う大店に居座ってしまった。

そして奈良屋の商売に精を出す事で奈良屋の身体を大きくした。


しかしもう一人の僧侶仲間が云った。いつの日か大名になると云う威勢の言葉はどうしたのか?

我は油売りになる為に寺を抜け出した訳ではないぞ。

そなたが是非とも守護大名になるのだ?いや守護大名が駄目でも、守護大名家の家老各の武士になる。

この出世話を信じたからこそ着いて来たのだと毎日毎日言った。